自然栽培の梅はなぜ難しい?
メリット・デメリットと現場で見えてきたリアルな答え
「自然栽培の梅は体にいい」「無農薬で安心」
そんなイメージを持たれることが増えました。
一方で、実際に梅農家として現場に立つと、
自然栽培の梅は“想像以上に難しい” というのが正直なところです。
この記事では、和歌山県みなべ町で南高梅を育てる農家として、
自然栽培の梅がなぜ難しいのか、
そしてそれでも挑戦する理由を、きれいごと抜きでお伝えします。
自然栽培の梅とは何か?
一般的に「自然栽培の梅」とは、
- 化学肥料を使わない
- 農薬を使わない(または極力使わない)
- 植物本来の力を引き出す栽培
を指します。
ありもとファームでは、
慣行栽培の園地と、完全に無肥料・農薬不使用の自然栽培園地を併行 しながら、
段階的に自然栽培へ移行しています。
ここがまず重要なポイントです。
自然栽培の梅が難しい理由①
「病害虫」が一気に牙をむく
梅は病気が多い作物です。
- 黒星病
- かいよう病
- すす病
- アブラムシ、カメムシ など
慣行栽培では、
予防防除 によって被害を最小限に抑えます。
しかし自然栽培では、
「守る手段」がほとんどありません。
✔ 一度病気が入ると止まらない
✔ 周囲の園地から一気に広がる
✔ 樹勢が弱ると回復に数年かかる
これは本当にシビアです。
自然栽培の梅が難しい理由②
収量が安定しない
自然栽培では、
- 実がならない年
- 極端に小玉になる年
- 表年・裏年の差が激しくなる
といった問題が起こりやすくなります。
「無肥料=放置」ではありません。
むしろ、
- 剪定
- 土の状態
- 水分管理
- 樹の声を読む力
すべての精度が問われる栽培 です。
正直、
慣行栽培より“簡単”になることはありません。
自然栽培の梅が難しい理由③
結果が出るまでに時間がかかる
自然栽培は即効性がありません。
- 1年目:ほぼ変化なし
- 2〜3年目:逆に樹勢が落ちる
- 4〜5年目:ようやく変化が見え始める
この途中で、
多くの園地が挫折します。
「自然栽培にしたら、逆に木が弱った」
これは珍しい話ではありません。
それでも自然栽培に挑戦する理由
ここまで読むと、
「じゃあ、やらんほうがええやん」と思うかもしれません。
それでも、ありもとファームが自然栽培に挑戦する理由は明確です。
① 梅の“本来の味”を引き出したい
過剰な肥料に頼らない梅は、
酸味・香り・皮の厚み がまったく違います。
② 土と樹が健全になる
時間はかかりますが、
根が深く張り、環境に適応した樹になります。
③ 次の世代につなぐ農業
短期的な収量より、
10年、20年先も続く梅畑 を残したい。
慣行栽培と自然栽培、どちらが正解?
結論から言うと、
どちらか一方が正解ではありません。
ありもとファームでは、
- 慣行栽培で安定した品質を確保
- 自然栽培で限界に挑戦
この両輪で農業をしています。
慣行栽培の技術があるからこそ、
自然栽培の「危うさ」も理解できる。
自然栽培を知るからこそ、
慣行栽培の改善点も見えてくる。
自然栽培の梅は「覚悟の農業」
自然栽培の梅は、
流行やイメージで手を出すと必ず失敗します。
✔ 収量が落ちても耐えられる
✔ 数年単位で向き合える
✔ 樹と会話する覚悟がある
その先に、
本当に価値のある梅 が生まれると、私たちは信じています。
ありもとファームの南高梅について
ありもとファームでは、
慣行栽培の技術を活かしながら、
自然栽培への移行を段階的に進めています。
自然栽培の梅も、
「売るため」ではなく
「未来につなぐため」に育てています。
その過程も含めて、
これからも正直に発信していきます。